作品works

綾杉肌Ayasugihada

古来から月山派の最大の特徴は「綾杉肌」と呼ばれる独特な鍛え肌にあります。鍛錬によって生み出される鋼の層を地肌といい、「柾目」「杢目」「板目」などが現れることによって各流派の特徴を表します。刀身全体に波のような流れる肌が規則的に連なったものを「綾杉肌」と呼び、月山派の作品に顕著に見られることから「月山肌」とも言われます。綾杉肌のルーツには出羽三山との山岳信仰からの影響や古木の肌を鍛えによって表現したなどの諸説もありますが、九州地方にも似たような肌を見せる刀工も存在することから、修験者による技術の伝播が広く行われていたとされます。約800年に渡り現代にも連綿と伝わる月山の伝統技術です。

  • 月山彫(刀身彫刻)gassanhori

    古くから日本刀には武士の信仰の現れから刀身に梵字や剣などの簡素なものに加え、龍や御神仏などを彫刻した作品が多く残っています。時代を下るにつれ、濃厚な彫物も多くなっていきます。
    大阪に拠点を移した月山貞吉の作品にも簡素な彫物がありますが、月山貞一(初代)は龍や滝不動などの様々な濃厚な彫物を施した見事な作品を多く残しています。その手腕は幕末期の名匠に肩を並べるもので、刀身彫刻でも名人として月山彫を大成させました。その後、技術は代々受継がれ、綾杉伝と共に伝わる月山の特徴として現在に伝わっています。

  • 各伝Kakuden

    刀剣の世界には大きな流派として、大和、山城、備前、相州、美濃といったそれぞれ特徴が異なる五ヶ伝というものが存在します。月山の綾杉伝はこれらにあてはまらない特異な伝法ですが、上記の五ヶ伝には正宗や一文字、粟田口吉光などの日本刀を代表するような名工が存在し、後の時代に多くの名刀を世に残しています。時代が下ると国を問わず名工が現れ、新しい作風や古作の名工を狙った作品が生まれます。
    江戸期に刀剣の一大産地として栄えた大阪は大阪新刀とも呼ばれ、多くの名工が現れました。幕末期に大阪へと拠点を移した月山鍛冶も類外ではなく、家伝の綾杉伝に加え五ヶ伝の技術習得もこの時期に行われました。特に月山貞一(初代)は多様な作風の秀作を残し、以来月山家ではその技術を受継ぎながら各代において一層の技術研鑽を重ねています。

月山貞利作品Sadatoshi Gassan

【刀】剣掴み龍 銘文 表:大和国住 月山貞利彫同作(花押) 裏:平成二寿八年正月吉祥日
刃長 71.3cm / 反り 2.0cm

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【太刀】銘文 表:大和国住 月山貞利謹作(金象嵌花押) 裏:先祖傳来綾杉鍛法以秘術 平成二寿六年三月吉祥日
刃長 76.9cm / 反り 3.0cm

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【太刀】銘文 表:大和国住 月山貞利謹作(花押) 裏:平成二寿六年八月吉日
刃長 58.3cm / 反り 2.6cm

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【太刀】松竹梅に龍 銘文 表:大和国住 月山貞利彫同作(花押) 裏:平成二寿八年三月吉祥日
刃長 72.8cm / 反り 2.3cm

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月山貞伸作品Sadanobu Gassan

【短刀】銘文 表:大和 月山貞伸造(花押) 裏:平成二十七年季夏
刃長 28.2cm / 反り 0.1cm

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【刀】銘文 表:大和国住 月山貞伸謹作(花押) 裏:平成二十七乙未年卯月吉祥日
刃長 73.4cm / 反り 2.0cm

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【脇指】銘文 表:大和住 月山貞伸謹作(花押) 裏:平成二十八年季夏
刃長 36.2cm / 反り 0.6cm

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